抄録
Helicobacter pylori(H.pylori)感染胃粘膜にみられるびまん発赤の客観的指標として,hemoglobin index(IHb)について検討した.H.pylori陽性例のIHbは平均70.0±10.0,H.pylori陰性例は平均54.3±4.7であり,有意にH.pylori陽性例のIHbが高かった(P<0.0001). 内視鏡像における肉眼的びまん発赤を指標にしたH.pylori感染診断の感度,特異度および正診率は,各々92.6%,66.6%および87.2%てあったが,IHbを用いたH.pylori感染診断の感度特異度および正診率はCut off値を60とした場合,それぞれ95.7%,82.4%および93.0%といずれも肉眼的びまん発赤を指標にした診断よりも高い診断率が得られた.また,肉眼的びまん発赤の有無よりもIHbを用いた方がより客観的に,炎症に伴う組織学的な変化を表していた. さらに,H.pylori除菌前後では,H.pylori除菌後にIHbの有意な低下が認められた.生検組織所見では,うっ血/充血の有意な改善,腺窩上皮(foveola)における赤血球数の有意な減少かみられ,それらはIHbと有意な正の相関関係が認められた. IHbの測定は,H.pylori感染胃粘膜の内視鏡診断および除菌前後の経過観察において,胃粘膜の炎症状態を示す有用な客観的指標になりうると考えられた.