日本消化器内視鏡学会雑誌
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早期胃癌に対する内視鏡的一括切除の必要性
江口 貴子後藤 田卓志小田 一郎濱中 久尚蓮池 典明斉藤 大三
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2004 年 46 巻 7 号 p. 1382-1387

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抄録
背景:日本では,内視鏡的胃粘膜切除術は早期胃癌に対する侵襲の少ない治療法として標準化されつつある.しかし早期胃癌に対する標準的胃切除術による死亡率は極めて低いため,その適応は慎重に選別されなければならない.そこでわれわれは適応を拡大するにあたり,必要となる条件を検討した.方法:当院にて内視鏡的胃粘膜.切除術により切除された早期胃癌1101病変を対象とした.適応基準は日本胃癌学会ガイドラインと,当院の拡大適応基準を用いた.それぞれの群において評価不能切除率,治癒切除率と局所再発率を検討した.結果:再発率は,評価不能切除において,評価可能切除より有意に高かった.日本胃癌学会ガイドライン内病変と当院の拡大適応内病変では,評価不能切除率に有意差はなかったが,治癒切除率では後.者において有意に低かった.分割切除された群では,適応を拡大しても評価不能切除率に差はなかったが,一括切除された群では適応拡大群において有意に低かった.結論:評価不能切除率および再発率を下げることから,一括切除を早期胃癌に対する内視鏡的胃粘膜.切除術のgold standardとすべきである.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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