2005 年 47 巻 1 号 p. 73-77
【背景】マイクロ波凝固療法及びラジオ波焼灼療法は,肝細胞癌に対する熱凝固療法として広く普及している.しかし,合併症の報告も散見されることから,その有益性を損なわないように安全性の追及も重要な点である.われわれは表在型肝癌に対して,1996年より腹腔鏡下に熱凝固療法を施行しているので,その有川性と長期予後について報告する.【対象及び方法】症例は1996年から2003年までに腹腔鏡下熱凝固療法を施行した47例58病変.【結果】同療法の施行例は同一期問内に局所療法を施行された全体の約15%を占めた.局所コントロールは良好で,5年.生存率は62%であり,予後に寄与する因子は肝.予備能と残肝の異所性再発率であった.重篤な合併症はなく,QOLも良好であった.【結語】肝表面に存在し出血が危惧される場合,または近接する臓器損4aが危惧される場合は,腹腔鏡下治療が有用で安全な方法と思われた.