日本消化器内視鏡学会雑誌
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成人肥厚性幽門狭窄症の1例
上田 哲郎宮城島 拓人高野 眞寿仲屋 裕樹小田 寿依田 有生能登 俊小笠原 和宏高橋 達郎
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2005 年 47 巻 4 号 p. 986-992

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抄録

 症例は85歳女性.主訴は心窩部不快感と体重減少.上部消化管内視鏡検査では幽門狭窄を認めるが,潰瘍や腫瘍性病変は無く,狭窄部の生検で悪性所見を認めなかった.上部消化管造影検査にて幽門の狭小化と延長(string sign)を認め,腹部超音波検査と超音波内視鏡検査では,幽門筋が肥厚していた.上部消化管造影検査で特徴的なstring signを認め,超音波検査で幽門筋の肥厚を認めた事から,成人肥厚性幽門狭窄症と診断した.保存的治療は奏効せず,幽門側胃切除を施行した.自覚症状は改善し,体重減少も停止した.病理組織所見では,幽門筋,特に内輪筋が著明に肥厚していた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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