2005 年 47 巻 5 号 p. 1128-1137
大腸腫瘍性病変に対する拡大観察のコツとピットフォールについて解説した.内視鏡機器の進歩によって,現在,拡大観察は生体内での極めて簡単な通常観察のオプション機能として使用可能で,本邦はもとより欧米にも徐々に普及しつつある.良好な前処置のもと,病変を発見したらまず水でよく洗浄し,通常観察・インジゴカルミンによる色素内視鏡観察を行い,それに引き続いてワンタッチ操作で拡大観察を行なう.インジゴカルミンによる拡大観察で,pit patternが不明瞭あるいは V 型を示す病変には,クリスタルバイオレットによる染色を行ってから最終診断を行うことが必要である.ただし,拡大観察はあくまで表面微細構造の観察というオプション機能であり,pit patternのみに振り回されることなく,基本である通常観察を怠らないように心掛けなくてはならない.