日本消化器内視鏡学会雑誌
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胆管結石除去に対する硝酸イソソルビド併用下で内視鏡的乳頭バルーン拡張術施行時に用いる拡張バルーン径の比較
中川 浩
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2005 年 47 巻 5 号 p. 1138-1144

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抄録

 【背景】内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)は胆管結石採石の一方法である.EPBDの合併症には急性膵炎があるが,Oddi括約筋の機能を温存できる可能性のある治療である.しかし,急性膵炎発症のriskを減少させる方法やOddi括約筋機能の温存について述べた報告は非常に少ない. 【方法】われわれは60例の胆管結石症例に対して異なる径のバルーンでEPBDを行った.無作為に6mmバルーンで30例,8mmバルーンで30例にEPBDを行った.EPBDは,両群とも硝酸イソソルビド(ISDN)を1時間に5mgの速さで点滴静注しながら低圧加圧で行った.EPBD前後でOddi括約筋圧を測定した.また,血清アミラーゼ値を両群で測定した. 【結果】6mm群の血清アミラーゼ値は8mm群よりも有意に高かった(p <0.05).急性膵炎は6mm群で2例,6.7%に生じたが,8mm群では一例も生じなかった.結石除去率は,6mm群で93%,8mm群で100%であった.6mm群の7例でせまい開口部のため治療に難渋した.6mm群ではOddi括約筋基礎圧(BSOP)もOddi括約筋収縮圧(PSOP)もEPBD前後で有意差を認めなかった.一方,8mm群では治療前に比べて治療後には有意に低かった.8mm群では,BSOP値は治療前に比して約80%であったが,PSOPは治療前後で有意差を認めなかった.6mm群では結石数2個以下であれば治療前後でBSOPに有意差を認めなかった.また,6mm群では結石径6mm以下であれば治療前後でBSOPに有意差を認めなかった. 【結論】6mmバルーンを使用するISDN併用EPBDは結石径6mm以下かつ結石数2個以下の症例に対して行い,8mmバルーンを使用するISDN併用EPBDは結石径7mm以上または結石数3個以上の症例に選択する.

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