日本消化器内視鏡学会雑誌
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同時性多発十二指腸癌の1例
菊地 徹野口 哲也萱場 佳郎鈴木 雅貴鈴木 眞一加賀谷 浩文立野 紘雄桑島 一郎小野寺 博義
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2006 年 48 巻 11 号 p. 2632-2638

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抄録

 症例は53歳男性.病変は,十二指腸球部,上十二指腸角の前壁上極寄りに位置する発赤陥凹を伴った隆起性病変であった.この隆起の近傍肛門側後壁ならびに口側前壁に1カ所ずつIIa病変を認めた.胃切除を伴う膵頭十二指腸切除術を施行した.主病変部は,乳頭腺癌で深達度mp,IIa部分は,いずれも高分化腺癌で深達度mであった.病理組織学的にこれら3病変に連続性を認めなかった.さらに,粘液の免疫組織化学より,3病変はいずれも相異なる組織発生をした可能性が示唆された.本症例は,十二指腸球部に限局して3病変にわたって発症した同時性多発十二指腸癌であった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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