2017 年 53 巻 7 号 p. 1307-1310
症例は日齢143の男児.在胎週数24週0日出生体重610 gの超低出生体重児である.日齢143に左鼠径部膨隆が出現し,用手還納が不可能であったため当科に受診となった.超音波検査で膀胱壁の一部が左鼠径部に脱出する所見と,逆行性膀胱尿道造影検査で膀胱の一部が左鼠径部に向かって脱出している所見を認めたため,左鼠径部膀胱ヘルニアと診断した.腸管をヘルニア内容とする右鼠径ヘルニアを合併しており,日齢173にMitchell-Banks法による右鼠径ヘルニア手術を施行したが,左鼠径部膀胱ヘルニアについては経過観察したところ,その後症状が消失し自然治癒した.乳児の鼠径部膀胱ヘルニアは,術前診断を確実に行った上で,術中の膀胱損傷の危険性も考慮し,経過観察することで手術を回避することは十分可能であると考えられた.