抄録
【目的】大腸腫瘍の内視鏡治療において,後出血のリスクの高い症例の特徴を明らかにするために,患者背景の因子を一致させたcase-control studyによる検討を行った.【方法】内視鏡治療後,出血を認めた34例を出血群として抽出し,後出血を認めなかった症例のうち,出血群と年齢,性を一致させて無作為に選んだ136例を非出血群として対象とした.この2群間において,後出血と最も関連性がある因子を検討した.【結果および結論】単変量解析の結果,Ip型病変,腫瘍径の大きい病変,上行結腸の病変,EMRを行った病変は後出丘且の頻度が高く,内視鏡治療の際に十分な注意を払う必要があると考えられた.特に多変量解析の結果,腫瘍径の大きい病変で後出血のリスクが最も高いと考えられた.