日本消化器内視鏡学会雑誌
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48 巻, 4 号
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  • 大草 敏史, 長田 太郎, 寺井 毅, 佐藤 信紘, 岡安 勲
    2006 年 48 巻 4 号 p. 977-986
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の治療前後における内視鏡像,生検組織像は,治療効果判定に日常よく使用されている.しかし,実際に役立てるためには,適切に定量化する必要がある.そのため,様々な所見スコアが提唱されてきた.しかし,それらを総括すると,基本は196/年にMattsが提唱したスコアに戻ってしまう.また,実際に,これらのスコアを用いると,潰瘍性大腸炎の治癒や増悪過程を正確には追えないという意見も多い.従って,潰瘍性大腸炎の経過を止しく反映する活動度指数の開発が求められている.われわれは,潰瘍性大腸炎の治療前後における内視鏡像と組織像を多数例で検討した.その結果,占いと言われるMattsのスコアを用いても,最悪の筒所1箇所で代表させることなく,大腸7箇所(虫垂口,盲腸,上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸,直腸)の所見スコアの総和をもってして,潰瘍性大腸炎の活動件を判定できることがわかった.この内視鏡所見,病理組織所見スコアの総和は,潰瘍性大腸炎の罹患範囲の変化も反映することから,今後,治療効果の判定や経過を追う指標として有用と思われる.また,Mattsのスコアの1960年代と比べて,内視鏡の解像度は飛躍的に向上し,拡大内視鏡や色素内視鏡が一般的になっていることから,さらに,精密な新内視鏡スコアも今後作るべきであろう.
  • 別府 加寿子, 寺井 毅, 阿部 哲史, 坂本 直人, 小林 修, 長田 太郎, 永原 章仁, 大草 敏史, 荻原 達雄, 三輪 洋人, 佐 ...
    2006 年 48 巻 4 号 p. 987-992
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【目的】大腸腫瘍の内視鏡治療において,後出血のリスクの高い症例の特徴を明らかにするために,患者背景の因子を一致させたcase-control studyによる検討を行った.【方法】内視鏡治療後,出血を認めた34例を出血群として抽出し,後出血を認めなかった症例のうち,出血群と年齢,性を一致させて無作為に選んだ136例を非出血群として対象とした.この2群間において,後出血と最も関連性がある因子を検討した.【結果および結論】単変量解析の結果,Ip型病変,腫瘍径の大きい病変,上行結腸の病変,EMRを行った病変は後出丘且の頻度が高く,内視鏡治療の際に十分な注意を払う必要があると考えられた.特に多変量解析の結果,腫瘍径の大きい病変で後出血のリスクが最も高いと考えられた.
  • 森 健次, 松岡 英彦, 市井 統, 深谷 悦子, 渡辺 龍之, 田井 真弓, 鈴木 智浩, 落合 浩暢, 江尻 豊, 箱崎 半道
    2006 年 48 巻 4 号 p. 993-999
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.全身倦怠感と貧血の精査目的に入院.消化管出血が疑われたため,上部・下部消化管内視鏡検査を行ったが異常所見は認めなかった.さらに小腸造影検査を施行したところ,空腸に約6cmの陰影欠損像が認められ,小腸腫瘍が疑われた.確定診断を目的に施行したダブルバルーン内視鏡による小腸内視鏡検査で,切歯列から110cmの空腸に粘膜下腫瘍を認めた.腫瘍は潰瘍形成を伴っており,潰瘍面より生検施行した.生検病理組織では紡錘形腫瘍細胞の増殖が認められ,さらに免疫染色ではC-kit陽性を示したことから,小腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)と術前診断し,小腸部分切除術を施行した.ダブルバルーン内視鏡は患者への侵襲も少なく,全小腸の内視鏡観察や生検による組織診断も可能であることから,小腸疾患の診断に有用な検査法と考えられる.
  • 小金井 一隆, 森 隆太郎, 辰巳 健志, 嶋田 紘, 佐々木 毅
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1000-1005
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は30歳男性.5歳時に発症,6歳時に診断された全大腸炎型の潰瘍性大腸炎で,再燃緩解を繰り返していたが18歳以降,ほぼ緩解を維持し検査や治療を受けていなかった.2004年6月に再燃し,施行された大腸内視鏡検査で横行結腸に50mm大の有茎性ポリープを認め,ポリープ切除術を行った.病理組織診で大小の嚢胞状拡張を示す多数の腺管を認め,若年性ポリープと診断した.潰瘍性大腸炎に合併する若年性ポリープは稀と思われ報告した.
  • 井上 勝朗, 赤松 泰次, 菅 智明, 沖山 葉子, 横沢 秀一, 金子 靖典, 進士 明宏, 伊東 一博, 立岩 伸之, 杉山 敦, 清澤 ...
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1006-1013
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    医原性大腸穿孔に対して止血用クリップによる内視鏡的穿孔部閉鎖術を行い,保存的治療にて治癒し得た4例を経験した.穿孔の原因は,2例が内視鏡的粘膜切除術(endos-copic mucosal resection;EMR),1例が内視鏡的粘膜下切開剥離術(endoscopic sub-mucosal dissection; ESD),1例がスコープ挿入時であった.いずれの症例も直ちに止血用クリップを用いて穿孔部を閉鎖し,絶飲食,補液,抗生剤投与により保存的に治療を行った.出血を伴った1例では3週間程度の加療期間を要したが,他の3症例では1週間程度の保存的治療で治癒し得た.
  • 青松 和輝, 大磯 龍太, 佐野 弘治, 上田 渉, 青木 哲哉, 大川 清孝, 西口 幸雄, 井上 健, 裴 英洙
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1014-1020
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性.突然の腹痛と下痢のため他院に入院した.大腸内視鏡で下行結腸に潰瘍がみられ,絶食,中心静脈栄養とされたが,改善がみられなかったため,クローン病を疑われ,副腎皮質ホルモンが投与されたが,治癒しないため転院となった.潰瘍からの生検にて核内封入体が認められた.ganciclovirの投与後,左半結腸切除術を施行した.サイトメガロウイルス感染により虚血性腸炎が難治化したと考z.られた貴重な症例と思われ報告する.
  • 尾山 勝信, 森田 晃彦, 寺田 逸郎, 山本 精一, 加治 正英, 前田 基一, 藪下 和久, 小西 孝司, 松田 充, 野田 八嗣
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1021-1026
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    75歳男性.前立腺癌に対する60Gyの外照射後16カ月目に大量の新鮮血を下血.大腸内視鏡で直腸に全周性毛細血管拡張病変を認めた.放射線腸炎と診断し,各種薬剤療法を行ったが改善せず,人工肛門造設後も下血が続き,アルゴンプラズマ凝固療法で止血し得た.しかし,処置後3カ月目に強度の直腸狭窄に陥った.難治性放射線腸炎の出血に本療法は有効であったので報告する.また,直腸狭窄の原因についても考察した.
  • 石川 剛, 安藤 貴志, 松本 次弘, 沖田 美香, 今本 栄子, 小松 晶子, 瀬戸 信之, 長尾 泰孝, 加藤 治樹, 古倉 聡, 内藤 ...
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1027-1031
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は39歳女性.S状結腸の有茎性ポリープに対するポリペクトミー後に腹痛を生じ,再受診.腹部CTにて,ポリープ切除後に行ったクリップ周囲の腸問膜脂肪織の濃度上昇を認め,大腸内視鏡検査では,粘膜は浮腫状となり,腸管内腔は狭小化していた.腸間膜脂肪織炎と診断し,抗生剤投与等の保存的加療を行い,症状は改善した.有茎性ポリープに対するポリペクトミー後の偶発症として,腸問膜脂肪織炎の本邦報告例はなく,示唆に富む症例であり,考察を加えて報告した.
  • 首藤 龍人, 矢崎 康幸, 菅原 謙二
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1032-1033
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 光永 篤, 今井 隆二郎, 石川 一郎, 白戸 泉, 清水 晶平, 小西 洋之, 中村 真一, 大井 至, 白鳥 敬子
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1034-1040
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    生検は内視鏡診断に至る自分の考えを理論的に検証する手段であり,生検個数に拘わらず,一つ一つの生検には全て理由がなければならない.どういう病理組織を期待して生検するのかという考えをしっかり持った上で生検を行えば,生検結果と自分の考えとの問に矛盾が生じた時,その矛盾が放置されてしまう危険がなくなる.また,生検は内視鏡治療などの手技の基本となる手技であり,自分が目的とする生検箇所を正確に生検できるようになるまで,内視鏡ならびに鉗子の操作に習熟する必要がある.全ての診断を生検に頼ろうとせず,可能な限り内視鏡による肉眼診断を行い,特に悪性が疑われる微小病変においては,敢えて生検を行わずに診断的治療を行うことも選択肢に加えるべきである.
  • 責任者:古城 治彦
    古城 治彦
    2006 年 48 巻 4 号 p. 1041-1043
    発行日: 2006年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 48 巻 4 号 p. 1045
    発行日: 2006/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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