潰瘍性大腸炎の治療前後における内視鏡像,生検組織像は,治療効果判定に日常よく使用されている.しかし,実際に役立てるためには,適切に定量化する必要がある.そのため,様々な所見スコアが提唱されてきた.しかし,それらを総括すると,基本は196/年にMattsが提唱したスコアに戻ってしまう.また,実際に,これらのスコアを用いると,潰瘍性大腸炎の治癒や増悪過程を正確には追えないという意見も多い.従って,潰瘍性大腸炎の経過を止しく反映する活動度指数の開発が求められている.われわれは,潰瘍性大腸炎の治療前後における内視鏡像と組織像を多数例で検討した.その結果,占いと言われるMattsのスコアを用いても,最悪の筒所1箇所で代表させることなく,大腸7箇所(虫垂口,盲腸,上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸,直腸)の所見スコアの総和をもってして,潰瘍性大腸炎の活動件を判定できることがわかった.この内視鏡所見,病理組織所見スコアの総和は,潰瘍性大腸炎の罹患範囲の変化も反映することから,今後,治療効果の判定や経過を追う指標として有用と思われる.また,Mattsのスコアの1960年代と比べて,内視鏡の解像度は飛躍的に向上し,拡大内視鏡や色素内視鏡が一般的になっていることから,さらに,精密な新内視鏡スコアも今後作るべきであろう.
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