日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
ダプルバルーン内視鏡により術前診断し得た小腸gastrointesti-nal stromal tumorの1例
森 健次松岡 英彦市井 統深谷 悦子渡辺 龍之田井 真弓鈴木 智浩落合 浩暢江尻 豊箱崎 半道
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 48 巻 4 号 p. 993-999

詳細
抄録
症例は57歳男性.全身倦怠感と貧血の精査目的に入院.消化管出血が疑われたため,上部・下部消化管内視鏡検査を行ったが異常所見は認めなかった.さらに小腸造影検査を施行したところ,空腸に約6cmの陰影欠損像が認められ,小腸腫瘍が疑われた.確定診断を目的に施行したダブルバルーン内視鏡による小腸内視鏡検査で,切歯列から110cmの空腸に粘膜下腫瘍を認めた.腫瘍は潰瘍形成を伴っており,潰瘍面より生検施行した.生検病理組織では紡錘形腫瘍細胞の増殖が認められ,さらに免疫染色ではC-kit陽性を示したことから,小腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)と術前診断し,小腸部分切除術を施行した.ダブルバルーン内視鏡は患者への侵襲も少なく,全小腸の内視鏡観察や生検による組織診断も可能であることから,小腸疾患の診断に有用な検査法と考えられる.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top