2006 年 48 巻 6 号 p. 1221-1227
症例は37歳男性.十二指腸球部を占める腫瘍性病変を認め紹介受診した.腫瘍基部辺縁には粘膜下腫瘍様の隆起を伴っており,腫瘍頂部の生検では上皮の過形成と診断された.同病変に対し超音波内視鏡検査及び穿刺吸引細胞診を施行した後に外科的切除術を行った.切除標本組織で偽浸潤を伴うPeutz-Jeghers(P-J)ポリープと診断された.消化管ポリポーシスの家族歴および皮膚粘膜色素沈着は認めないが,小腸にもP-Jポリープを認めたため不全型P-J症候群と診断した.十二指腸腫瘍の鑑別疾患の一つとして本症を念頭に置く必要があると考えられた.