日本消化器内視鏡学会雑誌
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カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡を併用した点墨が診断と治療に有用であった小腸vascular ectasiaの1例
尾北 賢治宮本 心一日下 利広仲瀬 裕志松浦 稔水田 和彦西尾 彰功千葉 勉
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2007 年 49 巻 2 号 p. 190-194

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抄録

症例は74歳女性.2002年8月頃より,タール便を度々自覚し,貧血を指摘されていた.近医にて上下部内視鏡検査,血管造影,出血シンチなどを数回施行するも出血源は不明であったため,2004年4月16日,当科紹介入院となった.4月19日に一度目のカプセル内視鏡を施行.回腸にvascular ectasiaを認めるも出血源は不明であった.その後4月27日,5月11日とそれぞれ経口的,経肛門的にダブルバルーン内視鏡を施行したが,出血源を確認できず,点墨のみを行い,一旦外来経過観察となった.同年7月7日朝よりタール便を自覚し,当科緊急入院となった.7月8日,二度目のカプセル内視鏡を施行し,前回入院時に施行された点墨より肛門側の回腸に出血点を確認した.その所見をもとに7月13日,経肛門的にダブルバルーン内視鏡を施行し,出血しているvascular ectasiaを同定,内視鏡的止血に成功した.初回ダブルバルーン内視鏡時の点墨はカプセル内視鏡にて容易に同定でき,再出1血時におけるダブルバルーン内視鏡の挿入ルートの決定に有用であると考えられた.

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