抄録
症例は81歳女性.既往に糖尿病と脳梗塞があり長期臥床状態であり,関節リウマチのためプレドニゾロンを5mg/日内服中であった.急な下痢,血便があり意識レベル200,ショック状態となり緊急入院した.画像診断で門脈ガス血症(HPVG)を認め,著明な代謝性アシドーシスと播種性血管内凝固症候群を合併した.当初は回腸の非閉塞性腸間膜虚血と考え,抗ショック療法を含む保存的治療にて軽快した.第27病日の小腸内視鏡検査では回腸末端の小びらんと,上部直腸からS状結腸にかけて縦走・深掘れ・地図状潰瘍や偽膜様びらんなど多彩な所見を認めた.生検で核内封入体を伴う巨細胞を認め,血中サイトメガロウイルス(CMV)antigenemiaが陽性でありCMV腸炎と診断した.Ganci-clovir投与後より発熱や炎症反応および潰瘍は急速に改善した.