日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸腫瘍性病変に対する拡大内視鏡観察における不整pitのスコア化と病理組織診断との相関性の検討
吉田 直久若林 直樹長谷川 大祐奥田 隆史奥田 孝太郎安田 洋二坂井 みき森田 聖小西 英幸福光 眞二高顕 純平光藤 章二柳澤 昭夫岡上 武
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2007 年 49 巻 8 号 p. 1806-1814

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抄録

 (目的)拡大内視鏡でV1pitを示す大腸腫瘍は,種々の病理組織像を示し,その治療方針決定において困難な場合がある.今回われわれは,V1pitにみられる不整所見を分類し,スコア化を用い病理組織所見との対応を解析した.(方法)当院で2002年1月より2005年9月に拡大内視鏡観察を施行し,病理組織学的検討が可能であった大腸腫瘍130病変(腺腫73病変,m-sm<1000μm癌35病変,sm≥1000μm癌22病変)を対象とした.pitの腺口不整,大小不同,配列の乱れ,不明瞭な始点終点,複数の分岐を不整所見と定義し,有意差を認めた所見を用いてpitスコアを算出し,病理組織所見との対応を検討した.(結果)腺口不整,大小不同,配列の乱れ,不明瞭な始点終点が,癌症例で有意に多く認められた.pitスコアは,腺腫,m-sm<1000μm癌,sm≥1000μm癌の順に有意に高くなった.(結語)pitスコアは,病理組織と相関し,大腸腫瘍の治療方針決定に有用であった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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