日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
胃と回腸病変にTreponema pallidumが組織学的に確認された消化管梅毒の1例
末廣 有希子芹澤 宏森永 正二郎桜庭 篤大石 温子樋口 肇金子 文彦常松 令渡辺 憲明熊谷 直樹土本 寛二
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 50 巻 11 号 p. 2845-2851

詳細
抄録

症例は75歳男性.心窩部痛,下腹部痛,便秘を主訴に来院.内視鏡検査にて,胃粘膜の退色調変化と不整な地図状の多発性潰瘍,回腸末端部での浮腫状変化が認められた.いずれの病変での生検からも著明な炎症細胞浸潤像とともに免疫組織化学的にTreponema pallidumが証明された.血清梅毒反応は高値を示し,皮膚科的にも硬性下疳,梅毒性乾癬が確認された.駆梅療法により臨床症状は速やかに軽快した.血清反応の陰性化を確認し治療終了とした.消化管梅毒は主として胃において報告されているが回腸病変での報告は極めて稀である.梅毒は全身性疾患であり,内視鏡検査が診断の契機となりうること,消化管のあらゆる部位で病変が形成されうることを念頭に置いた診療が重要である.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top