日本消化器内視鏡学会雑誌
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副乳頭に対する内視鏡的アプローチ:膵管癒合不全を中心に
神澤 輝実
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2008 年 50 巻 8 号 p. 1764-1768

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抄録
副乳頭に対する診断および治療を目的とした標準的な内視鏡的アプローチに付き説明した.ERCPの際主乳頭から膵管系が全くまたは一部のみしか造影されなかった時は,副乳頭からの造影は,膵管系への第二のアフローチとして有用なことがある.副乳頭のカニュレーションには,繊細な技術が必要である.副乳頭の開口部は通常小さいので,副乳頭造影には針状カテーテルが有用なことが多い.膵管癒合不全例における副乳頭造影は,重症急性膵炎を惹起する可能性があるので,細心の注意が必要である.膵管癒合不全例では,副乳頭の開ロ部が小さいことによる背側膵管内圧の上昇が起こり,急性再発性膵炎,慢性膵炎や膵炎様疼痛などの臨床徴候を呈することがある.急性再発性膵炎を呈する膵管癒合不全例は,背側膵管内圧を低下させる内視鏡的副乳頭切開術やステント留置術の最も良い適応である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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