日本消化器内視鏡学会雑誌
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高脂血症による重症膵炎に合併した脾静脈血栓症の1例
藤澤 貴史上山 茂充森 要之小柳 真希大内 佐智子
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2008 年 50 巻 9 号 p. 2494-2502

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抄録

 症例は41歳,女性で主訴は貧血である.高脂血症による2度の重症膵炎の既往があり,4年前2度目の膵炎発症時に膵体尾部の腹側から脾門部にかけて広範囲に仮性嚢胞を形成し,その後嚢胞感染を発症したが保存的治療で仮性嚢胞は消失した.2型糖尿病,慢性膵炎などの加療中に今回高度貧血のため入院となった.上部消化管内視鏡検査では食道に異常を認めなかったが,胃噴門部から体上部にかけて胃静脈瘤を認め,一部に粗大結節状の静脈瘤と同部に潰瘍形成を認めた.画像診断では脾静脈周囲に豊富な側副1血行路を認め,短胃静脈を介して胃静脈瘤が形成され,門脈に流入しており,脾静脈は描出されなかった.以上より,脾静脈血栓症および胃静脈瘤破裂と診断し,脾摘術を行い,術後は胃静脈瘤の縮小を認めた.本邦報告例38例の文献的考察を加えた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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