2018 年 15 巻 2 号 p. 122-129
手術部位感染(surgical site infection:以下,SSI)発生を予防するためさまざまな対策を実施してきたが,下部消化管手術患者の SSI発生率は高値で推移していた。2012年4月から2016年3月の間に当院で下部消化管手術を受けた患者の SSI発生リスク因子を検討したところ女性,創分類 3以上,開腹手術,緊急手術,人工肛門造設の 5項目がリスク因子として抽出された。リスク因子に対する対応策を周術期の患者にかかわる職員とともに検討し,「SSI対策バンドル」を作成し導入した。バンドル未導入期(2012年4月から 2016年3月)に下部消化管手術を受けた患者と,バンドル導入期(2016年4月から2017年3月)に下部消化管手術を受けた患者とで SSI発生率を比較したところ,SSI発生率は26.5%から18.2%へと減少した( P=0.07)。SSI発生のリスク因子を明確にし,それらを踏まえて SSI対策バンドルを作成・導入することで SSIを減少させることができた。