2018 年 15 巻 3 号 p. 228-237
外科・救急領域では,sepsis,septic shock,急性腎障害などの患者に対して持続的腎代替療法 (以下,CRRT)が導入されることがある。急性腎障害を伴った敗血症患者における主な薬物動態の変化として,抗菌薬クリアランスや分布容積があげられる。CRRT時の体外におけるクリアランスは抗菌薬の特性に加えて,CRRT側の因子としては,血液浄化量がもっとも影響が大きい。CRRTの方法は国での差も大きく,日本では欧米と比較して,血液浄化量は少ない条件下で施行されるため,欧米での CRRT時の抗菌薬推奨用量を用いると日本では過量投与の危険性がある。本トピックスでは日本における血液浄化量が少ない条件下で施行される持続的血液濾過透析時での抗 MRSA薬の投与設計について,われわれのバンコマイシン,テイコプラニン,ダプトマイシンおよびリネゾリドでの成績も含め考察する。