2018 年 15 巻 3 号 p. 221-227
“感染”という侵襲により,臓器障害として引き起こされた敗血症性急性腎障害は,高メディエーター血症などの重篤な病態が関与し,単なる腎臓の障害にとどまらず多臓器障害の 1つとして発症することが多い。そして実際に腎臓の機能が失われた場合には,腎補助として急性血液浄化療法が施行される。持続 /間欠といった施行時間の問題や,血液浄化量の問題など,血液浄化の施行条件は一定の見解が得られているが,血液浄化開始のタイミングについては,エビデンスが少ないためいまだに多くのガイドラインでも明確になっておらず,現在さまざまな検討が続けられている。さらに本邦では,いわゆる“吸着膜”を用い,炎症性メディエーターの除去を企図した血液浄化療法が積極的に行われている現状があり,この問題をさらに複雑にしている。血液浄化開始のタイミングを標準化するためには,血液浄化の役割をさらに明確にしていく努力が必要である。