2019 年 16 巻 2 号 p. 140-144
80代女性。肺癌に対しペメトレキセド,ベバシズマブ,カルボプラチン併用療法を施行。その4日後より下腹部痛,下痢,下血を認め,絶食,補液,カルバペネム系抗生剤の投与による治療を継続されていたが,著明な下痢が持続し,腎機能低下,意識障害など全身状態が悪化。当科紹介となり下部内視鏡検査にて下行結腸を中心に浮腫と深掘れ潰瘍があり,生検で核内封入体が認められ,CMV(Cytomegalovirus)腸炎と診断。ガンシクロビルを開始したところ,発熱,下痢は改善傾向を示し,腎機能は改善,C-HRPも陰性化し,全身状態の改善傾向が得られた。しかしながら,その後,肺癌の増悪を認め,肺炎を併発したため急速に呼吸状態が悪化し,治療開始後より 19日目に呼吸不全のため永眠された。