2019 年 16 巻 2 号 p. 80-86
腹腔内感染症の原因菌は,腸内細菌科細菌とバクテロイデス属であり,これらに活性を示す抗菌薬選択が原則となる。院内/ 医療関連感染では緑膿菌,エンテロバクター属,さらに重症感染では腸球菌,extended spectrum β-lactamase 産生菌のカバーも考慮する。重症腹腔内感染ではMEPM,DRPM やTAZ/PIPC が推奨され,中等症ではCFPM+MNZ やIPM/CS が,軽症(市中感染)ではCTX/CTRX+MNZ やCPFX+MNZ が推奨される。ランダム化比較試験で適切な感染源コントロールが行われた場合,4 日間投与と長期投与で術後成績に差がないことが証明された。しかし重症例では経過不良なことも多くまた短期投与を支持するデータも限られるため,臨床反応を参考に患者個々で投与期間を決め,経過良好例では7 日以内に抗菌薬を中止することがすすめられる。