2019 年 16 巻 2 号 p. 87-92
【目的】炎症性腸疾患(以下,IBD)は,内科的治療による免疫抑制状態と,炎症腸管粘膜の fungal translocationが原因で,真菌感染症のリスクが増大するとされている。今回,IBD手術症例において真菌性眼病変を併発した症例の特徴について明らかにすることを目的とした。【方法】2010年1月から 2016年11月までに手術を施行した潰瘍性大腸炎(以下,UC)421例とクローン病(以下,CD)401例を対象とした。【結果】真菌性眼病変は,UCで5例(1.2%)CDで3例(0.7%)に認めた。全例に中心静脈カテーテルが留置されていた。血液培養検査は,7例(87%)で陽性で,Candida albicansが全例に検出され,β.Dグルカンの上昇は6例(75%)に認められた。眼症状は半数に認められ,硝子体病変を3例に,黄斑病変を5例に認めた。全例が眼科受診し,抗真菌剤の投与で改善を認め,硝子体注射 /手術を行った症例はなかった。【結論】IBD手術症例において,真菌性眼病変は進行性病変が多く,真菌血症を認めた場合は,すみやかに眼科受診をすべきである。