日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
総説
手術器械の洗浄の意義と実際
水谷 光大出 めぐみ
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2019 年 16 巻 6 号 p. 596-604

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抄録

手術医療の歴史上,滅菌は画期的な発見であった。確実な滅菌のためには,元々付着している微生物の生育菌数を洗浄によってあらかじめ減らしておくことが重要である。洗浄できていない器械は滅菌できていないと考えてよい。近年は洗浄の困難な器械が増えた。原則としてウォッシャーディスインフェクターで洗浄するが,ブラッシングや浸漬などの用手洗浄を必要とすることもある。超音波洗浄も有効な洗浄方法である。定期的および必要時の洗浄評価は欠かせない。執刀医として安全な器械を求めるならば,自分が使う器械の洗浄・滅菌についても知っておくべきである。洗浄・滅菌部門は医療施設で最大の利益を生む手術部になくてはならず,感染管理や安全管理の意味でも重要である。外科系医師は洗浄・滅菌部門の改善を求める権利と義務がある。なぜなら,手術医療の成績の維持と向上に直結するからである。洗浄・滅菌部門が頼りなくては手術医療は成り立たない。

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© 2019, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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