日本外科感染症学会雑誌
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Print ISSN : 1349-5755
総説
単回使用医療機器の再製造(R-SUD)
高階 雅紀
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2019 年 16 巻 6 号 p. 615-620

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抄録

本邦において再製造単回使用医療機器(R-SUD)はいまだ医療機器市場に出現していないが,その原材料となる使用済みSUDの収集事業はすでにいくつかの医療施設において開始されており,今後さらに多くの医療施設に対して使用済みSUD収集への協力が要望されると予想される。医療施設にとって使用済みSUDの収集は,従来からの感染性医療廃棄物の処理ではなく「有価資源の売却」であり,医療施設にとっては日頃馴染みのない業務である。混乱を避けるためには,まずは医療施設の職員自身がR-SUDとは何なのかという理解に始まり,事業導入のイニシアティブを執れるキーパーソンを定め,売却の事務手続きの整備,さらに実際に収集対象となるSUDが消費されている現場での具体的な対応方法を詳細に詰めていく必要がある。さらに,将来において医療機器市場にR-SUD製品が登場した場合,オリジナル製品とR-SUD製品のどちらを購入するべきか,その選定においてはR-SUDのメリットとデメリットを十分に検討せねばならない。立場によってR-SUD導入の意義は一様ではないことにも留意すべきである。本稿では,R-SUD事業が導入されるにあたり,今後医療施設側ではどのような対応が必要であるか,具体的な留意点や諸問題について解説する。

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© 2019, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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