日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
臨床研究
新生児集中治療室における医療器具関連感染サーベイランス
坂木 晴世高野 八百子藤田 烈森兼 啓太渡邉 都喜子黒須 一見四宮 聡縣 智香子清水 潤三佐和 章弘中村 ゆかり窪田 志穂佐々木 顕子赤木 真治針原 康
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2019 年 16 巻 6 号 p. 649-656

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抄録

新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:以下,NICU)における医療器具関連感染サーベイランスの対象は,中心ライン関連血流感染(central line-associated bloodstream infection:以下,CLABSI)と人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:以下,VAP)である。NICUは患者の重症度に応じて2つのレベルに層化され,さらに出生体重カテゴリーによって5群に層化されている。CLABSIの発生率の分布は,0の施設が75%を占めており,2013年のNHSNデータとのSIRを用いた比較では0.8で,中心ラインの使用比は,NHSNのデータよりも,JHAISのデータの方が低い傾向にあった。VAPの2013年のNHSNデータとのSIRを用いた比較では2.1で,日本では米国よりもVAPが多く発生していると解釈できる。人工呼吸器使用比は,NHSNのデータと比較すると同程度であった。NICUのCLABSIとVAPの発生率の推移をみると,CLABSIとVAPの発生率は年々減少しており,直近1年間はJHAIS登録施設からの報告数は0件であった。

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© 2019, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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