2020 年 17 巻 3 号 p. 135-141
2018年に改訂された急性胆囊炎の診療ガイドラインでは,急性胆囊炎に対する腹腔鏡下胆囊摘出術の安全な手術手順を提示した。また,Calot三角の高度な線維化,瘢痕化を認める症例は胆管損傷(以下,BDI)や血管胆管損傷(以下,VBI)の発生が危惧される状態であり,手術困難症例と定義した。このような手術困難症例に対する危険回避手術として,開腹移行,胆囊亜全摘術,fundus first techniqueを提案した。当科の最近の解析結果において,後期では回避手術施行例は有意に増加した。また,開腹移行率や術後合併症発生率は減少し,有意な入院期間の短縮が得られた。手術困難(手術難度)を的確に把握し,手術困難例に対してはBDI,VBIを回避すべく適切な回避手術を行うことが重要であり,これにより良好な治療成績が得られると考えられた。