歯科材料・器械
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原著
合着用セメントの被着体に対する接触角と接着強さの相関性
黒澤 茂務日比野 靖
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1992 年 11 巻 4 号 p. 592-602

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抄録
本研究の目的は合着用セメントの被着体に対する接触角と接着強さの相関性について検討することである.4種類の歯科用合金(Au-Ag-Cu合金, Ag-Pd合金, Ni-Cr合金ならびにチタン)ならびに象牙質に対する合着用セメント(リン酸亜鉛セメント, カルボキシレートセメント, グラスアイオノマーセメントおよび接着性レジンセメント)の接触角の測定を行った.シリコンカーバイドペーパー600番で研磨した各歯科用合金ならびに象牙質上にセメント泥0.2ml滴下し, セメント硬化後シリコーン印象材にて印象採得しレプリカ模型を作製した.レプリカ模型を切断し, 写真撮影し, 写真上にて接触角の測定を行った.引張接着強さの測定はすでに報告した方法に従い行った.その結果, 歯科用合金の種類を問わず接着性レジンセメントの接触角が最も小さい値を示しリン酸亜鉛セメントが最も大きな値を示した.引張接着強さについては接着性レジンセメントが最も大きな結果が得られた.セメントの接触角と接着強さの間には有意な相関関係が認められ, その相関係数は-0.895であった.本研究より合着用セメントのぬれはセメントの接着特性の1つの因子であることが示唆された.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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