2020 年 17 巻 4 号 p. 193-200
重症感染症患者では,抗菌薬の薬物動態パラメータ,とくに分布容積とクリアランスが大きく変動することで至適投与量にならない可能性がある。その際に使用する持続的腎代替療法(以下,CRRT)や体外膜型人工肺(以下,ECMO)のような生命維持システムは,薬物動態パラメータを変動させる報告もある。本稿では,CRRTおよびECMO施行時における抗微生物薬の薬物動態の注意点を概説する。CRRTやECMO施行時で薬物動態が変動するような患者では,ガイドラインなど,データリソースが不十分であるため,TDMも含めた抗菌薬適正使用支援をすべきである。