日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
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総説
初期蘇生・循環作動薬
垣花 泰之
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2022 年 18 巻 3-4 号 p. 350-359

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抄録

敗血症性ショックの病態には,血管透過性亢進や血管拡張に伴う相対的な循環血液量減少だけではなく,心機能低下が混在する場合もある。個々の症例に対して病態を正確に把握し,適切な治療法を選択する必要があるため,J-SSCG 2020では,敗血症患者に遭遇した場合には,まず簡易的な心・血管エコー検査により前負荷や心機能を評価することを推奨している。循環血液量減少に対しては初期蘇生輸液を行い,血管拡張に伴うショックと判断された場合にはノルアドレナリン投与,それでも血圧が維持できない場合には,バソプレシンの追加投与が推奨されている。一方,心・血管エコー検査で心機能障害が認められた場合には,強心薬が必要であり,頻脈性不整脈に対してはβ1受容体遮断薬の投与が推奨され,重篤な心機能低下に対しては補助循環の適応も検討されている。本稿では,敗血症性ショック患者の初期蘇生・循環作動薬に関して,J-SSCG 2020が提示しているCQ/Answer,診療フローを解説する。

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© 2022, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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