2022 年 18 巻 5-6 号 p. 421-425
SSI防止ガイドラインで推奨された対策が行われ,結果としてSSIが減少したことが示されてはじめてその臨床効果があったと言える。そして,SSIの減少を示すためには継続的なSSI発生の監視,つまりSSIサーベイランスが必要である。その意味でSSI対策とSSIサーベイランスはクルマの両輪のように協調して運用され,SSIの減少という患者にとって望ましいアウトカムに向かっていく。日本で実施されているSSIサーベイランスは手法が標準化されている。そのシステムであるJANISのデータを用いてガイドライン発行前と後のSSI発生頻度の推移を見ると,肝胆膵手術では発行前に横ばいであったが,発行後には有意な減少傾向を示した。一方,結腸・直腸手術は発行前にもSSI減少傾向が有意であり,発行後も着々と減少していった。術式が複雑で比較的標準化しにくい肝胆膵手術において,ガイドラインによってSSI対策が標準化され,SSI発生が減少傾向に転じたことが考えられた。