2022 年 19 巻 2-3 号 p. 329-335
【緒言】当院では2016年4月から全身麻酔下で行うすべての予定手術症例に対して,周術期口腔機能管理(以下,口腔管理)を行う取り決めとしている。このシステムによって得られた効果について後ろ向きに検討した。【対象と方法】歯科スタッフによる動揺歯の有無,口腔衛生状態および口腔乾燥状態の評価と唾液分泌を促進させる口腔粘膜刺激を柱とした口腔管理を行った群(2016年4月から2018年3月まで)と介入なし(2014年4月から2016年3月まで)の群に分け,術後在院日数,術後合併症の発生数などについて比較検討した。【結果】このシステムにより全予定手術症例の口腔管理を行うことが可能となった。口腔管理介入群では非介入群と比較し,多くの診療科で術後在院日数が減少していた。また,当科の介入により呼吸器外科の手術では術後の合併症についても減少していることが示された。【結論】全身麻酔下の手術を受けるすべての患者の口腔評価を行い,かつ当科より提唱する新たな方法の口腔管理を行うことで多くの診療科の術後合併症を減少させるのではないかと考えている。