日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
臨床研究
口腔環境と高齢者総合的機能評価との関連性
優先的に周術期口腔機能管理すべき対象とは
中村 美紗季能崎 晋一
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2022 年 19 巻 2-3 号 p. 336-341

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抄録

この研究は,外科医または内科医によって歯科医および歯科衛生士に専門的な口腔医療(以下,POHC)を目的に紹介された545人の患者に関するレトロスペクティブ研究である。高齢者総合的機能評価(以下,CGA)と入院時の口腔状態との関係を調べた。口腔状態は,EilersとBergerによるOral Assessment Guideのスコアによって評価された。13点以上の患者を重度の口腔機能障害に分類した。がん化学療法群と今回の入院前に外出回数が週2回未満群では,口腔機能障害が重度であり,有意差があった(P<0.05)。がん化学療法群では,物忘れ患者は重度の口腔機能障害を有し,有意差があった(P<0.05)。術前の患者では,外出回数週2回未満群が重度の口腔機能障害を示す要因であり,有意差はなかった。手術前のPOHCとがん化学療法により,口腔機能障害による合併症のリスクが低下することが示唆された。CGAに関連する重度の口腔機能障害の要因を持つ患者,とくにがん化学療法群と外出回数週2回未満群では,合併症の予防のための早期POHCを考慮する必要がある。

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© 2022, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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