2022 年 19 巻 2-3 号 p. 368-372
Edwardsiella tarda(E.tarda)は水生生物の腸内常在菌でヒトへの感染はまれであるが,免疫不全者や基礎疾患を有する場合には敗血症をきたすこともある。症例は69歳男性,胆囊炎の既往以外は特記事項なし。倦怠感を主訴に来院,腹部CTで多発肝膿瘍を認め,抗菌薬投与による保存的治療を開始したが敗血症性ショックおよびDICとなった。ショック離脱後に肝膿瘍ドレナージを行い,血液培養および膿瘍からE.tardaが検出された。E.tardaに起因する敗血症性ショックの致死率は高く,膿瘍ドレナージなどの早期の治療介入が重要である。