日本外科感染症学会雑誌
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Print ISSN : 1349-5755
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肝切除後の腹壁瘢痕ヘルニア発生の危険因子と予防する腹壁閉鎖方法
松島 英之松井 康輔小坂 久山本 栄和関本 貢嗣海堀 昌樹
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2023 年 19 巻 4-5 号 p. 380-388

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抄録

腹壁瘢痕ヘルニアは術後の創部合併症の中でも遭遇する頻度が高い疾患である。当科で行った2018年から2020年の3年間に腹腔鏡下肝切除を行った肝細胞癌の70例中6例に腹壁瘢痕ヘルニアが認められ,発生率は8.6%であった。発生例の背景としては肥満,創感染,術後腹水が多く,正中線上部・標本摘出創部からの脱出が多かった。リスク因子としては術後腹水が認められ,SSI発生例が多い傾向にあった。リスクを認識し,エビデンスに基づいた腹壁閉鎖法と予防措置を行うため,本稿では自験例でのリスク調査の結果を含め,最近の知見を中心に腹壁瘢痕ヘルニアの予防策について述べる。

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© 2023, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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