2023 年 20 巻 1 号 p. 41-44
微生物検査においては,塗抹鏡検などの形態学的検査と分離培養後の生化学同定が中心であったが,近年では,新規検査機器として質量分析や遺伝子検査が期待される。遺伝子検査は汎用性に優れ,微生物の検出以外に薬剤耐性遺伝子や病原遺伝子の検出が可能である。遺伝子検査は特殊な技術や機器が必要であったため運用が制限されていたが,全自動機器の開発により,その活用が期待される。外科感染症として重要な血流感染症や術後肺炎の診断にも有用である。遺伝子検査は塗抹検査や培養検査に完全に置き換わるものではないため,従来の検査法との使い分けが求められる。遺伝子検査の利点・欠点を把握し,外科感染症の診療に役立てられるようにしたい。