抄録
近年,骨・軟部組織の感染制御における持続局所抗菌薬灌流療法(continuous local antibiotics perfusion:CLAP)の有効性を示す報告が増加している。当院でCLAPを施行した36例の安全性と有効性を調査した。安全性の評価は治療前後の腎機能,ゲンタマイシン(GM)最大血中濃度,第8脳神経障害の有無,骨癒合不全を調査し,有効性の評価は感染制御率,感染鎮静化までの日数を調査した。治療前後で腎機能には有意な変動はなく,GM最大血中濃度は平均0.75μg/mLであった。腎機能障害は1例に認めた。第8脳神経障害は認めず,骨癒合不全を2例に認めた。感染制御率は予防群86%(12/14例),治療群100%(22/22例)であった。治療群での感染の鎮静化までの期間は平均11.5日であった。当院における36例のCLAP施行は,高い安全性と有効性を示した。