2008 年 23 巻 p. 91-107
本稿では,多様な投資家の存在を仮定したMüller et al. [1997] のHetero型モデルを拡張し,非対称性を捉えるHEGARCH (Heterogeneous Exponential Generalized Autoregressive Conditionally Heteroskedasticity)モデルを新たに提案した.そして,このモデルを用いて,TOPIXのボラティリティと非対称性の構造を分析した.また,EGARCHモデル,FIEGARCH(Fractionally Integrated EGARCH)モデル,IEGARCHモデル,HARモデルとの予測精度の比較を行った.実証分析の結果,TOPIX日次収益率のボラティリティと非対称性には,多様な投資主体に依存していることが明らかにされ,投資家それぞれに非対称性が存在していることが示された.また,金融規制緩和が,行われた以降の期間では,標本内と標本外予測で,HEGARCHモデルが最も予測精度が高いという結果が得られた.