現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
論文
異質的市場仮説によるボラティリティ変動モデルの拡張と予測精度の検証
大塚 芳宏
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 23 巻 p. 91-107

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抄録

本稿では,多様な投資家の存在を仮定したMüller et al. [1997] のHetero型モデルを拡張し,非対称性を捉えるHEGARCH (Heterogeneous Exponential Generalized Autoregressive Conditionally Heteroskedasticity)モデルを新たに提案した.そして,このモデルを用いて,TOPIXのボラティリティと非対称性の構造を分析した.また,EGARCHモデル,FIEGARCH(Fractionally Integrated EGARCH)モデル,IEGARCHモデル,HARモデルとの予測精度の比較を行った.実証分析の結果,TOPIX日次収益率のボラティリティと非対称性には,多様な投資主体に依存していることが明らかにされ,投資家それぞれに非対称性が存在していることが示された.また,金融規制緩和が,行われた以降の期間では,標本内と標本外予測で,HEGARCHモデルが最も予測精度が高いという結果が得られた.

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© 2008 日本ファイナンス学会/MPTフォーラム
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