2016 年 39 巻 2 号 p. 116-121
目的 : 地域高齢者がケアを提供する相手を持つことと主観的QOLとの関連を明らかにすることを目的とした.
方法 : 2014年5月-7月に富山県南砺市で実施された日常生活圏域ニーズ調査の回答者である65歳以上の高齢者7728人のデータを解析対象とした. ケアを提供する相手の有無及び本人の属性, 健康, 生活に関する各種指標を説明変数とし, 主観的QOL指標とみなせる生きがい, 充実度, 自尊心の有無をそれぞれ目的変数とする多重ロジスティック回帰分析を行った.
結果 : 属性, 健康, 生活に関する各種指標を調整したとしても, 高齢者にとってケアを提供する相手がいることと, 生きがい, 充実感, 自尊心との間には, いずれも正の有意な関連があることが認められた.
結論 : 地域における互助の推進にはケアの受容者のみならず, ケアを提供する高齢者に対しても積極的な意義があること, またケアされることにも社会的な意義があることが示唆された.