2017 年 40 巻 3 号 p. 143-149
目的:日本において人口の高齢化に伴う住民の健康問題の変化を調べた研究はない.プライマリ・ケア国際分類第2版(ICPC-2)によって明らかにされた現在の健康問題と先行研究を比較しその変化を考察する.
方法:沖縄県離島で後ろ向きオープンコホート研究を行い受診患者すべての健康問題についてICPC-2を用いて集計した.また1990年に出版されたプライマリ・ケア健康問題国際分類注解第2版(ICHPPC-2 defined)を用いた同地域の健康問題のデータと比較検討した.
結果:1年間で4660件の受診があり,15歳未満が826件,15-64歳が2146件,65歳以上が1688件であった.本研究は先行研究と比較しL筋骨格,S皮膚,A全身及び臓器が特定できないものの頻度が高かった.本研究で診療の包括性の指標である全健康問題の上位50%以内に含まれる健康問題の種類が多かった.
結論:本研究において沖縄県の離島診療所では整形疾患や皮膚疾患へのニーズが高まり,診療の包括性が高まっていることが示唆された.