2017 年 40 巻 4 号 p. 186-188
80代女性.卵巣癌腹膜播種による腹水貯留を認め,月1~2回の経腹壁腹水穿刺ドレナージを1年以上要していた.胃を圧迫する被包化腹水を生じ,上腹部の圧迫感や嘔気を認めた.症状緩和のため,Endoscopic Ultrasonography(EUS)を用いて経胃的に被包化腹水を穿刺しドレナージした.ステントによる内瘻化は行わなかった.症状は著明に改善し合併症はなかった.6ヶ月後に死亡したが,被包化腹水は再燃しなかった.有症状の被包化腹水に対してEUS下ドレナージが有効で,内瘻化しなくても被包化腹水は長期間再燃しない可能性がある.