リアリストアプローチは,プライマリ・ケア領域で必要とされる複雑な介入のプロセスや教育プログラムを評価することを目的としている.これまでブラックボックスであった「どのように機能するのか(How)」と「なぜ機能するのか(Why)」を明らかにし,現実に即した介入やプロセスの省察を可能とする研究方法の一つである.リアリズムをパラダイムとするリアリストアプローチは,定量的・定性的データを収集し,構成主義的統合の考えに基づき,コンテキスト(文脈),メカニズム,アウトカムの一連の統合した輪郭を明らかにする.本稿では,地域の病院で医学生を対象に実施した多職種のシャドーイングプログラムの評価を例に挙げ,リアリストアプローチの概要を紹介する.今後プライマリ・ケア領域において,科学としてのリアリストアプローチの考え方を適用した評価が普及することを期待する.