2022 年 45 巻 1 号 p. 10-24
目的:効率的で安全な時間外診療体制構築が国際的に進められている.諸外国の時間外往診体制,アウトカム評価に関するスコーピングレビューを行い,日本の時間外往診における課題を考察する.
方法:PubMed,Embase,Google Scholar,医中誌Webを用い,論文を検索した.時間外往診実態把握やアウトカム評価が行われた論文を抽出した.
結果:論文は109編であった.提供体制や利用実態は様々であったが,時間外往診のみに着目した調査は国ごとに1-4件と少なく,日本でも全国的な報告は存在しなかった.時間外診療のうち時間外往診が占める割合は最も低い傾向であった.時間外往診のアウトカム評価では満足度や救急外来負担削減に関する研究等が実施されていたが質の高い研究は見当たらなかった.
結論:時間外往診に関してさらなる研究実施が必要であり,研究結果に基づいた議論と改革の検討が必要である.