2022 年 45 巻 1 号 p. 25-30
目的:診療所における抗菌薬適正使用の推進に向けて,抗菌薬処方状況を処方医自らがモニタリングできるシステムの開発を計画中である.本研究は,システムの実現性,妥当性の調査を目的とした.
方法:6つの診療所のレセプトコンピュータ内に格納されている傷病名と処方薬のデータを出力後,個人情報を匿名化した.急性気道感染症と急性下痢症に対する抗菌薬処方を集計,データ整理した後,報告書を作成し,診療所が閲覧できるようにした.
結果:対象の6つの診療所全てで,匿名化したデータを取得できた.また,傷病名と処方を連結させたデータの抽出や,処方薬の集計を行うことができた.
結論:診療所における,抗菌薬処方モニタリングによる抗菌薬適正使用支援確立の可能性を見出し,本システム実現化を見通すことができた.一方,傷病名の付け方は多様であり,抽出する傷病名の定義づけに関しては,さらなる調査・検討が必要と考えられた.