2022 年 45 巻 1 号 p. 31-35
症例は77歳,男性.2年前からめまい・嚥下機能低下があり,むせ,血痰も伴い内科で精査が行われ,原因不明の嚥下機能低下による誤嚥性肺炎の入院歴がある.今回動悸・息切れを伴い近医受診した.心臓超音波検査では,左房内腫瘍が心拍動に伴って僧帽弁に嵌頓していた.当院心臓血管外科で緊急左房粘液腫摘出術,Patch Closureが施行された.摘出術後,嚥下機能が回復したことから術後Ortner症候群と診断された.嚥下機能低下,めまいの原因精査として心臓超音波検査が重要と考えられた一例を経験したので報告する.