日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(事例報告)
大腸内視鏡検査後の食事量減少により正常血糖糖尿病性ケトアシドーシスを来したイプラグリフロジン内服中の2型糖尿病の1例
大﨑 崇正冨田 周作原田 敬大松本 翔子齊藤 裕之
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2024 年 47 巻 1 号 p. 12-16

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抄録

症例は80歳,女性.2型糖尿病に罹患しており,イプラグリフロジンを内服していた.X-7日に大腸内視鏡検査を施行された後,気分不良のため食事が減少していた.X日に腹痛と繰り返す嘔吐の為,救急搬送された.身体診察と胸腹部単純CTでは腹痛,嘔吐の原因疾患はなく,血液ガス検査ではアニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスを示した.血中ケトンは上昇しており,血糖値は182 mg/dLであった.イプラグリフロジンによる正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス(以下euDKA)と診断し同薬を中止した.輸液とインスリン投与によりアシドーシスは改善し,腹痛や嘔吐も消失した.SGLT2阻害薬を内服中の患者が本症例のように大腸内視鏡検査に伴う禁食や検査後の食事量減少を契機としてeuDKAを発症しうることを認識し,少なくとも2日前にSGLT2阻害薬を中止する必要がある.

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