日本プライマリ・ケア連合学会誌
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ISSN-L : 2185-2928
原著(事例報告)
易疲労感を有するCOVID-19罹患後患者に柴胡桂枝湯を使用した症例の集積報告
小野 理恵高山 真齊藤 奈津美有田 龍太郎菊地 章子石沢 興太菅野 武菅原 章人大澤 稔阿部 倫明小野寺 浩赤石 哲也石井 正
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2024 年 47 巻 2 号 p. 49-55

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抄録

はじめに:新型コロナウイルス感染症の罹患後症状 (long COVID)の中でも易疲労感は頻度が高く,社会復帰の障害となる重要な症状であるが,しばしば難治性である.今回long COVIDにおいて,柴胡桂枝湯を処方した患者の易疲労感の経過を報告する.

症例:2020年10月から2023年3月に当院後遺症外来で柴胡桂枝湯を処方した患者の症例集積を行い,処方開始時と3ヶ月後の状態を比較した.対象は7例で,年齢は15~58歳,女性3例であった.5例で微熱があり,4例の血液検査で炎症所見を認めた.3ヶ月以内に全例で易疲労感visual analogue scale 20%以上の低下を認め,6例でhealth-related QOL 20%以上の上昇または社会復帰を認めた.

まとめ:long COVIDの易疲労感は,微熱や炎症所見を伴う場合,柴胡桂枝湯によって改善する可能性がある.

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© 2024 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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