2024 年 47 巻 2 号 p. 43-48
目的:我が国のプライマリ・ケア診療所における患者安全管理体制の実態を調査することを目的とした.
方法:日本プライマリ・ケア連合学会のプライマリ・ケア認定医と家庭医療専門医のうち,診療所の管理者を務めている医師を対象に,患者安全管理体制に関するオンライン調査を実施した.
結果:計183名が調査に参加した.医療の安全を確保するための指針,院内感染対策に関する指針,医薬品の安全使用のための手順書,医療機器に係る安全確保の手順書を作成していたのは,それぞれ53.0%,73.2%,38.8%,32.8%だった.過去1年間のインシデント・アクシデントレポートが10件未満だったのは64.5%であり,その内訳としては処方エラー,ワクチン誤接種,転倒,針刺しが多かった.
結論:本研究で明らかになった課題をもとに,診療所の患者安全向上に資する教育プログラムや評価・ 改善ツールの開発を推進すべきである.