2025 年 48 巻 2 号 p. 58-65
家族関係の悩みは日常生活の中で多く見られ,病気や健康に関する家族の影響は様々な場面で研究されている.日本のプライマリ・ケアでも多くの患者が家族問題を抱えており,そのアプローチ法として「家族志向のケア」が提唱されている.家族志向のケアは「システム理論」と「家族療法」に基づき,家庭医と家族療法家の協働を背景に持つ.実践や効果に関する文献は複数あるものの,標準化されたトレーニングはまだ確立されておらず,各施設が試行錯誤しながら取り組んでいるのが現状である.教育の現状に関する文献も不足し,その実態は十分に把握されていない.本総説では,日本における家族志向のケアの実践と教育の現状を,米国の先進的な取り組みと比較しつつ概観し,日本の教育標準化に向けた課題を考察する.